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祥子の少しはしたなくていけない妄想を綴りました 大人の方だけご覧になってください
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プロフィール
HN:
祥子
年齢:
61
性別:
女性
誕生日:
1962/12/28
職業:
フリーデザイナー
趣味:
美味しい珈琲 クラシックの流れるお気に入りの喫茶店 読書 ジャズ ミュージカル お酒 声が魅力的で背の高い男性♪
自己紹介:
寂しがりやの甘えたです。
ぽちゃ、色白、黒髪のストレートロングヘア、お胸はGカップ、眼鏡をしています。真面目そうな感じだって良く言われます。
声は美人かも♪
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「難しいのね。ひっそりとしていて・・・圧倒的な紫陽花の花なんて。そこまで拘わるなんて大切なシーンなのね」
「ええ、出会いとクライマックスの場所なんです。まだ、構想ですけれど。」
「いいのよ。お話してまとまることもあれば、口にすることでイメージが希釈されちゃうこともあるでしょうから。ごめんなさい、余計なことを聞いて。」
ふっと、瞳が優しい表情を取り戻しました。
「やっぱり、ねえさんと一緒なのはいいな。ちゃんとこの感覚をわかってくれる。」
「ううん、そんなことないのよ。」
北鎌倉の紫陽花の寺の山門までわたくしたちは戻って来ていました。
「あじさい探しの旅に、まだ付き合ってくれますか?」
「ええ、よろこんで」
にっこりと頷くと、駅の近くに停めた車へと森本さんは歩き出しました。
 



「お願い、トモくん。今日は、ね・・・」
「うるさい!」 タクシーから降りた正面は鴬谷の駅の改札です。振り切って帰ろうとするわたくしの身体を強く引くと、キヨスク脇の自動販売機に押し付ける様にして・・・貪るようなキスで言葉を塞いだのです。
トモくんの両腕はわたくしの左右に突かれ、身動きを封じていたのです。
「やめ・・て・・」 彼の唇をそらせて・・・説き伏せようとする言葉さえ・・・すぐに追いかけられて・・・覆いかぶさられてしまうのです。
雪がまたちらちらと舞い始めているようでした。
何人もの人が、駅へ向かいながらわたくしたちの姿を認めていたことでしょう。
それでも、トモくんはわたくしの身体が無言の抗いを止めるまで・・・キスをやめてはくれなかったのです。
彼の胸のなかで、わたくしは・・・諦めたのです。このまま帰るなんてことはとてもできないと。
そう、せめてトモくんと静かな場所で彼が納得するまで話をするしかないと思ったのです。たとえその場所がホテルの一室だとしても。そしてとにかく、円満に別れ話を承知させるしかないのです。彼の結婚が、別れの理由なのですから。
 
「いいね、祥子さん」 ようやく口づけをやめると彼は耳元でそう囁いたのです。
こくん・・・と、わたくしは声も出さずに頷きました。
トモくんはわたくしのミンクのコートの肩を抱きしめると、細いファッションホテル街へと歩き出しました。そして歩きながらも、時折わたくしの唇を啄もうとするのです。
17歳年下のセフレ。確かに若い男性ですが、いまのわたくしたちはとてもそうは見えなかったかもしれません。
180cmを優に越えるがっしりとした体躯は、女性としては大柄なわたくしを包み込むほどでした。強面な表情は、彼の年齢以上の貫禄を感じさせたはずです。
もちろんそれだけの男性としての魅力があったからこそ、彼とこれまでお付き合いを続けてきたのですから。
トモくんはほんの少しの迷いもないように、1軒のホテルへとわたくしを誘いました。
「泊まりで・・・」
3つ程しか空いていない部屋の中から一つを選ぶと、フロントにそう告げたのです。
いつもならフロントと話す間はわたくしをエレベーターホールに1人にしておくのに、今日はほんの少しも側から離してはくれません。
キーを受け取ると、偶然開いたエレベーターへと無言のままで乗り込んだのです。
「なん・か・・んく・・・」 フロア釦を押そうとするわたくしの手を押さえ込み、最上階の釦を彼自身の手で押すと、そのまま・・・また唇を奪ったのです。
「だ・・・め・・」 トモくんの手は、腰の上でコートごとわたくしのスカートをたくし上げ、もう一方の手はわたくしの唇を逃すまいと雪に濡れた黒のロングヘアの後頭部をがっしりと掴んでいたのです。
チン・・・ エレベーターのドアが開きます。
乱れた装いのままに、彼は2部屋しかない最上階のフロアの一部屋へとわたくしを押し込んだのです。
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わたしくはこれ以上車内で抗う事を・・・諦めたのです。
「好きなんだ。別れたくない、祥子さん。」 トモくんは、わたくしの沈黙を<了承>だと受け取ったようでした。
「祥子さんじゃないと、満足できないんだ。」 いままで口にしたこともないような睦言をわたくしの耳元に囁き続けるのです。
「せめて、想い出がほしい。祥子さんの・・・この身体の。」
「・・ぁぅっ でも、身体が・・だめなの・・」 ミンクのコートの胸元に手を差し入れると、ジャケットごしにGカップの乳房を握り締めるのです。突然の強い刺激にわたくしは、思わず痛みを交えた喘ぎをもらしてしまったのです。
「今夜、思い通りにさせてくれたら祥子さんの言う通りにする。血まみれのあそこも全部きれいに舐めてあげるよ。タンポンも僕の指で引き出して上げる。いいでしょう。」 もう一方の手は・・・わたくしのタイトスカートの太ももを撫で続けていました。
 
「鴬谷ですがどこに着けますか」 運転手さんの声は・・・全てを聞いているはずなのに、ことさらに完全な無関心を装っていました。
「駅の南口に」 わたくしのロングヘアを掻き揚げて耳朶にキスを繰り返すトモくんは躊躇することもなくそう答えたのです。
いま彼を振り切れば、どうしてももう一度・そしてもう一度と逢わないわけにはいかなくなるでしょう。トモくんの幸せを考えれば、もうこれ以上こんな関係を続けることはできません。
わたくしは・・・年若いセフレに・・・今夜、このはしたない身体を晒さなくてはならないのです。
 



書院づくりの建物の奥の菖蒲は、もう花の盛りを過ぎておりました。
ほんの3週間ほどの違いですが、1年前に訪れた時よりも周囲の緑の陰影は一段と濃くなっておりました。
「ここから、見えるのか」 森本さんは書院の丸窓の前にしばし立ち尽くすと、改めてカメラを構えたのです。
「ええ、青紫の菖蒲の花に黒揚羽が舞っていたのよ」
「ん〜見たかったな。紫陽花よりもそっちのほうが、好みかもしれない。」
「ふふふ、その気持ちは、わからないでもないけれど。でもここは別名紫陽花寺というくらいだから。そんなことを言ったら怒られてしまうわよ。」
年下の気軽さというわけではないのですが、いつも逢う珈琲専門店以外の場所で二人きりでいても、こんな軽口を許してくれる雰囲気がありました。
 
「たしかにそうなんだけど。ん〜。思ったよりも紫陽花の花房が小さいというか・・・。もっとこう圧倒的な存在感みたいなものをイメージしていたから、ちょっとがっかりもしてるんです。このロケーションは悪くないんだけどな。」
そういって降りて来た道をもう一度見上げるのです。
ゆるい勾配の回遊路の左右に、しだれるかのように咲く紫陽花の花。
ほぼ青紫から淡青までのワントーンの花色。古木となった紫陽花ならではの小さめの花房。歴史のある寺院に相応しい上品な佇まいだったのです。
「そうね、植物園のようにはいかないわね。」
「やっぱり長谷の方に行かないとだめかな。」
手すりに軽く触れながら、登ってきたのとは別の回遊路を下ってゆきます。
「長谷?あの大仏様のある方?」
「ええ。もう随分前から植栽が進んでいて、最近では名所もおおいんです。ただ、あんまり観光地化していてひっそりとした風情がないんで、どうしようかとおもっていたんです。」
仕事に関わるお話になると、森本さんの瞳は輝きを増すのです。
その瞳の奥で高性能のコンピューターが演算を繰り返しているような・・・鋭い透明感のある輝きがプラスされるのです。
2日後、森本さんから来たメールにはいつもお逢いする珈琲専門店の前での待ち合わせ時間が書かれていたのです。
 
今日、わたくしはデニムの前開きのフレアーワンピースを着ていました。
ノースリーブなのでサマーブルーのカーディガンを羽織って。カーディガンよりも一段濃いアイリスブルーのランジェリー・セットに、今日はナチュラルカラーのパンティストッキングを着けておりました。脚元は、前日の雨もありましたから、白革のローファーを選んだのです。
森本さんは、いわゆる<お茶のみ友達>でした。
ですから、カジュアルに肩の力の抜けた、そしてセクシュアルではない装いをあえて選んだのです。
 



羽織ったミンクの胸元をかき寄せるわたくしの手を、トモくんは掴むと表通りに無言で向かったのです。
 
わたくしはその日は、当然のことですが仕事帰りでした。
コートの下は黒のタイト・スーツに、胸元までをきちんと覆った黒のノースリーブのカットソウ、脚元はショートブーツに黒のタイツを着けていました。
トモくんには、逢ってお食事をご一緒するだけと告げていました。
こんな風に雪のちらつく夜だということを理由にして・・・わざとよほどカジュアルな時でなければ身につけないような少し厚手の30デニールの黒のタイツを選んだのです。
インナーは、それでも黒のサテンのセットでした。
装いに合わせて・・・のセレクトでもありましたが、それ以上に月のものの時に身につけるものは黒と決めていたからです。
まるで椿姫が紅い椿を胸元に飾る様に・・・わたくしは漆黒のランジェリーを選びました。
「月のもの」は単なる言い訳でした。
まったくその気配もないのに、トモくんにわたくしの身体を見せる訳にはいかないという理由から・・・見た目だけは完璧に装っていたのです。
 
数少ない空車のタクシーに向かって、トモくんが手を上げます。
「鴬谷へ」 一台の空車が止まるとわたくしを押し込むように乗り込んで、運転手さんにそう告げたのです。
「はい」 訳知り顔の運転手さんは黙って車を発進させました。
 
「トモくん、今日はだめって言ったでしょう」 鴬谷という地名が意味することをわたくしは知らないわけではありませんでした。トモくんとは行った事はありませんでしたが、彼の目的ははっきりしていました。
「これからも逢ってくれるの?」 わたくしが、頷く事のできない問いを・・・幸せな婚約者を持つ若いセフレは改めて投げかけてくるのです。
「だめ。もう逢わないわ。」
「もう2度と祥子さんを抱けないなんて我慢できない。今夜は、絶対帰さないからね。」 タクシーという密室の中で・・・運転手の耳に・・・このあけすけな言葉はきっと届いてしまったことでしょう。
「トモくん・・やめて。今日はだめなの。」
「僕は構わない。前から言ってるだろ。もう・・・こんなになってるんだ。」 わたくしの左手を掴むと、ウールのコートの下の彼の腰へと強引に導くのです。そこはもう・・・くっきりと昂りを示していたのです。
「おねがい。帰るわ。」
「だめだ。今夜が最後なら絶対に、なにがあっても帰さないからね。」 運転手さんの意識が高ぶるだけ大きくなるトモくんの声に反応していることはわかりました。
「ならいいけど。ここが、気に入らないのかとおもった。」 大柄な男性は、仕事相手には時にひどく強面に見せる事の出来る、整った迫力のある顔を優しい笑みに和ませながらわたくしを振り返るのです。
「そんなことないわ。好きよ、雨の翌日の紫陽花寺。」 昨晩から今朝方までしとしとと降り続いていた雨は、わたくし達が北鎌倉の駅につくころようやく上がりました。それでも、空はまだ雲がたれ込めて・・・周囲の空気をまだひんやりとさせていたのです。
「その先の書院の向こうの菖蒲はもう終わってしまったかしら」
「へえ、そんな場所があるんだ」
「知らなかったの?」 豪放磊落に見えて、実は丹念な仕事をする男性らしくない一言にわたくしはついからかいの言葉を漏らしてしまったのです。
「知らなかった。でも、ねえさんがそう言うくらいだから、印象的な場所なんだろうね。行ってみてもいい?」 そうおねだりをする顔は、まるで本当に弟以上でした。
「もう。今日はあなたのロケハンにわたくしが付き合っているだけなんだから。気にしないで、あなたの思う通りにまわってちょうだい。わたくしは充分楽しんでいるんだから。」
にっこりと微笑みかけるわたくしに、男性は無言で頷くとまた手元のカメラを進行方向へと向けたのです。
 
今日ご一緒している方は、わたくしが行きつけにしている珈琲専門店のカウンターで知り合った方でした。
いつもカジュアルなスタイルで、時に原稿用紙や絵コンテの台紙を手に普通の会社員の方なら決してお出でにならないような時間に、カウンターに座ってらしたのです。
わたくしも常連でしたから、古株の店員さんを介してその男性とお話するようになるまで、そう長い時間は必要としませんでした。
お名前は森本さん。年齢は38歳。映像監督兼プロデューサーをしていると苦笑いしながら自己紹介をしてくださいました。
年下だということと、ファーストネームがわたくしの実の弟と同じだとお知りになった時から、彼はわたくしのことを「ねえさん」と呼ぶようになったのです。
不思議なことに、森本さんとわたくしの持つ雰囲気は、どちらもとても似ていて・・・初対面の方は本当に二人を姉弟だと思われるほどだったのです。
 
1週間前。
「GWからずっと働き詰めだったから、この2日間はのんびりと過ごすことにするわ。」 珍しくわたくしのスケジュールが一日オフになることが解った日、カウンターのいつもの席で、古株の店員さんに何気なくそう口にしたのです。
わたくしの隣には、たまたま森本さんがいらっしゃいました。
「ねえさんは、鎌倉は好き?」
「ええ、好きよ」
「それじゃ、その休みの日によかったらロケハンに付き合ってくれないかな?」
「ロケハン?」
「そう。次の作品を組み立てるのに、舞台を鎌倉にしようと思って。」
「他のスタッフの方も一緒なのでしょう。お邪魔になっちゃうわ。」
「いいって、僕1人だし。ドライブがてら付き合ってくれませんか?」
唐突なお誘いでした。が、カウンターで時々お逢いする様になって1年。森本さんの性格も、考え方も良くわかっていました。
なにより、わたくしは彼と居るときにとてもリラックスしていたのです。
「お邪魔じゃないのなら、ご一緒させていただこうかしら。」
「やったね。 詳しい事は任せて。また連絡します。」
お食事はさすがなお味でした。
江戸風の濃くて甘いまったりとしたおでんは、日本酒にぴったりで、後半はトモくんも熱燗を一緒に楽しんでいたのです。
 
「祥子さん」 テーブルの上には熱燗のセットと、お漬け物だけが並んでいました。トモくんがいつにない真剣な声でわたくしに呼びかけたのです。
「なぁに?」 ほんのりと目尻が紅く染まるほどに酔ったわたくしは、とうとうお話がはじまるのね・・・と思いながら彼を見つめたのです。
「結婚する事になったんだ。」 心をいまここで、あらためて決めたかのような言葉がトモくんの口から出て来たのです。
「あら、おめでとう。良かったわね。」 26歳・・・あと数ヶ月で27歳です。付き合っている恋人がいるなら、<結婚>という話は時間の問題でしかなかったはずです。
「ありがとう。」 陽気に返したわたくしの言葉に、図に乗ってのろけを口にしないところが・・・トモくんの良いところです。良く躾けられた、いい男の子。
「お式はいつなの?」
「6月の予定だよ」 杯に満たされた日本酒をぐい・・と一息に飲み干すのです。
「そう、ジューン・ブライドね。幸せになってね。」 わたくしは徳利を手にすると、空いた彼の杯に改めてお酒を満たしたのです。
「それじゃ、もう逢う訳にはいかないわね。ありがとう、トモくんに出逢えて楽しかったわ。」 奥様のいる男性とお付き合いするつもりは、わたくしはありませんでした。彼が結婚をするというのなら、それは二人の関係が終わることを意味しました。
わたくしたちは、ただのセフレなのです。互いのことを何も知らないほどに・・・
 
「もう逢ってくれないの?祥子さん」
「ええ。新婚さんのご主人とお付き合いする必要なんかないでしょう。」
「そう言うだろうと思ってたよ、でも別れたくない。結婚してもいままでみたいに逢ってほしい。」 トモくんの視線も声も・・・本気でした。
でも、わたくしは当然のように20代の前半であろう新妻から夫を寝取る、不倫相手に成り下がるつもりはまったくありませんでした。
「ごめんなさい。せっかくだけど、もうお付き合いはできないわ。不倫しなくちゃならないほど、相手には不自由していないのよ。」
わたくしは、もう日本酒の杯には手を付けませんでした。お食事が終わったのを見計らってテーブルに届けられた暖かい日本茶を、ゆっくりとすすったのです。
「いやだ。いままでと、なにも変わらない。祥子さんに不自由な想いはさせないから、これからも逢ってほしい。」
「だめよ。」 この話はもうおしまい。そんな意味を込めて、わたくしはこの一言を口にしたのです。
トモくんは手元のお酒をぐいっと煽ったのです。そして、コートと伝票を掴むと・・・わたくしの耳元に囁いたのです。
「出ましょう。祥子さん。」
 



「どうしたの、ねえさん。黙りこくって。」 
鎌倉の紫陽花寺の境内は、植え込みに沿って奥の院の手前まで竹の手すりが渡された回遊路が出来ていました。前日の雨のせいで滑りやすくなった脚元への配慮なのでしょうか・・・。
「いいえ なにも。綺麗ね、ほんとうに。」 わたくしは脳裏の中の雪のちらつく夜のトモくんの横顔を意識の中から振り払いました。
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