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祥子の少しはしたなくていけない妄想を綴りました 大人の方だけご覧になってください
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プロフィール
HN:
祥子
年齢:
61
性別:
女性
誕生日:
1962/12/28
職業:
フリーデザイナー
趣味:
美味しい珈琲 クラシックの流れるお気に入りの喫茶店 読書 ジャズ ミュージカル お酒 声が魅力的で背の高い男性♪
自己紹介:
寂しがりやの甘えたです。
ぽちゃ、色白、黒髪のストレートロングヘア、お胸はGカップ、眼鏡をしています。真面目そうな感じだって良く言われます。
声は美人かも♪
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26 2024 / 11
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20 2005 / 09
「珍しいでしょう 屋根は茅葺きなんです」 闇に溶けるように高い天井を見上げるとそこは男性がいう通りでした
「離れごとに露天風呂が用意されていますし こんなつくりでも化粧室は最新式ですから快適です」 座椅子に寛ぎわずかにネクタイをゆるめます
「それにこの部屋のお風呂は川に面していますから川風が気持ちいいですよ」
 
この部屋だけではなく宿そのものを何度か利用したことがあるであろう男性との話に夢中になっていたら いつのまにか運転手が部屋に控えていました
「こちらにいらっしゃればいいのに」 運転を続け男性の荷物を運んでいままで整理していたのでしょう
 
「今夜は祥子さんは何もなさらなくていいのです」 せめてお茶の一杯でも・・・と茶器に手を伸ばしたわたくしを男性は制するのです
「お茶ぐらいよろしいでしょう?」 わたくしをからかってらっしゃるのかと向かいに座る男性に問いかけました
「今夜は祥子さんのことは全て彼がお世話をいたします 彼に任せて なさりたいことがあれば彼に命じてください」 真顔で男性は答えるのです
「運転手さんはあなたの部下かもしれません でもわたくしの部下ではありませんわ そんなことできません」 無体なことを言う上司だこと・・・わたくしはそんな視線を運転手に投げました
「ふふ 祥子さん 彼の望みなのですから聞いてあげてください そうだろう?」 最後の一言はわたくしにではなく運転手に向けてかけたのです
 
「はい 祥子様 はじめて親しくさせていただくので不安もおありかと思いますがどうか主の言う通りお世話をさせてください お願いします」 きちんと居住まいを正したまま肩巾に両手をついて礼をなさるのです
「そんな・・・」 運転手の真意がわからなくてわたくしは戸惑うしかありませんでした
「お嫌ですか?」 顔を上げた運転手の澄んだ目がわたくしを見つめます
 
ドライバーズハットをかぶり白い手袋をいつもしていた彼は、主である男性とほとんど変わらない大柄な体格をしておりました
声は落ち着いてけして大きくはないのですが通るのです ふとしたほんの一言までもわたくしの中にすとんと落としてゆくような声なのです
男性とほぼ同じ年令なのだろうと勝手に思い込んでいたのですが帽子と手袋を外した彼は30代の中程に見えました
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20 2005 / 09
女将が入れてくださったのは甘みのある八女の玉露でした
そのお部屋は二方が雪見障子になっておりました
わたくしはライトアップされた庭を見ながら、ワイシャツ姿でくつろぐ男性と差し向かいに座って、まぁるく喉を落ちてゆくお茶の味を楽しんでおりました
 
今夜の男性は・・・まだ紳士的なままでした
「ここはね離れが四つありましてね みんな趣きがちがうんですよ」 女将が言っていた様に男性はここのことをとても良く知っているようでした
「こんな佇まいですけれど洋館もあるのですよ」 飲み干された器を座卓の上の茶托に置きました
「祥子さんには洋館が似合うと思ったのですけれど せっかくの温泉ですからね 和室のここにさせてもらったのですよ」
 
わたくしは部屋に通されてからのことを思い出し改めて部屋を見回しました
灰白い漆喰の壁に長年いぶされたのであろう黒々とした柱が、時代を感じさせる造りでありながらモダンな印象を醸し出していました
高い天井までの空間は繊細な欄間などではなくきりだしたままのような梁が何本も横切っているのです
青畳の上にはイサムノグチ氏の間接照明が行灯のように置かれ 白い壁・白い障子が最低限の照明を高め室内を明るくしていました
 
「ここは水回りのほかに3部屋あるんですよ」 一方の全面の襖を視線で示して男性はそういいました
 
玄関の開く音がします 重いものを置く音がして運転手が車からいくつかの荷物を下ろしてきたことがわかりました
すっ・・・・ 別室の襖の開く音がします
運転手は3間あるうちの一部屋にそれを持ち込むとしばらくは出てきませんでした
19 2005 / 09
後部座席のわたくしたちに対する運転手の強烈な意識を感じて わたくしはグレーのゼニアのスーツの肩を押し戻しました
 
都心を出てから約2時間 窓の外の空気は車内の男性たちの熱い思いとは反対にわずかに冷えていました
湯本から七曲がりへ向かう道を右へ下ったところにその瀟酒な宿はありました
贅沢な平屋づくりの建物は春には花が見事だろうと思わせる桜の樹々の間に離れのようにいくつか点在していました
4組も泊まれば満室になってしまうかのような贅沢なつくりの宿は、いまは紅く色づく紅葉の桜葉に彩られていました
 
車が止まったのはフロント機能を持つ本館の前でした
「いらっしゃいませ お待ちしておりました」 上品な女将がひとりでわたくしたちを迎えてくれます
「お世話になります」 言葉すくなに挨拶する男性は上客の常連なのでしょう
「よろしくおねがいいたします」 宿泊するというのにハンドバッグ一つのわたくしに不審な目を向けることもなく 「どうぞごゆっくり・・・」と微笑みかけてくれるのです
 
「さ、こちらです」 女将が案内してくれたのは渓流の音が聞こえる最も奥まった離れでした
「今夜はこちら一つでよろしいのですね」 いつもは運転手用の控えの部屋もお願いするのでしょう
「ええ、食事もこちらにお願いします」 男性はそう答えて座卓の置かれた部屋でジャケットを脱ぎました
「お預かりいたします お客様もどうぞ・・・」 女将に声を掛けられて、わたくしも黒のジャケットの釦を外しました
「女性の方にこうしていただくのって不思議な感じですね」 ふふふ 女将がわたくしの背中で華やかな笑い声をたてるのです
「お客様はおもてになるんですね きっと」 そういいながら引き戸になったクローゼットを開けてジャケットを仕舞うのです
「そうなんですよ 女将 この人はとても魅力的なんでね」 わたくしに座卓の向かいを指し示しながら男性までがそのように言うのです
「あらあら・・・わたくしはお邪魔みたいですね 本当でしたらお部屋をご案内するところですが」 そういいながら女将は座卓の上の茶器を優雅に扱い、熱いお茶を入れてくださいました
「こちらさまが十分にご存知ですので お判りにならないことがございましたらフロントまでお電話くださいませ」 畳に三つ指を突き深く一礼をすると、女将は衣擦れの音をさせて離れを去ってゆきました
19 2005 / 09
車は湾岸線を抜けレインボウブリッジへ 刻々と都心を離れてゆきます

「それで、今夜はどちらにご招待してくださるの?」 これ以上取り乱してもみじめなだけです わたくしは覚悟を決めました
「箱根にね 素敵な宿があるのですよ 祥子さんはおつかれのようですから温泉でゆっくり楽しみましょう」 三ツ沢バイパスを藤沢に向けて車は移動します 
「他の方は?」 すべすべとした手の男性と優しい声の男性の顔を思い浮かべずにはいられませんでした
「今夜はわたしたちだけです 彼らは仕事を抜けられなくてね どちらかがお気に入りでしたか?」 わたくしの横顔を見つめながらからかうようにそういいます
「いいえ それではふたりきり・・・ですのね」 男性の嗜好を知っているわたくしは今夜の成り行きにわずかにおののきながらもふたりきりの時間ならと 少しほっとしておりました
「ふたりきり? わたしたちだけと言ったでしょう 今夜は彼にも想いを遂げさせてやってください」 バックミラー越しに運転手がわたくしに目礼をいたします
「この方もなんですか・・・」 あの日も今日も慇懃無礼にわたくしに接しつづける運転手とも関係を持たなくてはならないなんて・・・
 
「彼は優秀な男なんです いろいろな意味でね 僕の仕事を教えるために運転手をしてもらっているだけなんですよ」 わたくしの偏見をあざ笑うかのように男性は語りはじめました
「あの日あなたをお送りしてから 彼は何度もあなたに連絡ととれないのかと僕に聞いてきたんですよ」 ふふふ 思い出し笑いさえ漏らすのです
「僕たちだけは祥子さんとの連絡方法を知っているのだと思っていたみたいでね」
「申し訳ございません」 車が動きだしてからはじめて運転手の声を聞くことができました
「私がわがままを申したのです 祥子様がどうしてもお嫌だとおっしゃるなら私は控えておりますので」 誠実で抑制の効いたゼニアのスーツの男性よりも幾分若い声はとても恐縮して聞こえました
「こうしてまたお逢い出来ただけで満足です どうか箱根の夜をゆったりとお楽しみください」 わたくしは運転手の育ちの良さをうかがわせる物言いに心を動かされていました
 
車は西湘バイパスを過ぎ湯本へ向かう片側一車線の道を走ります 
 
「ごめんなさい そういうことではないのよ」 時折力の籠るバックミラー越しの視線に、はじめて目を合わせて答えました
「わかりました 仰るとおりにしましょう」 運転手の背に微笑みかけるようにして わたくしは男性に答えました
「やっぱり祥子さんは思った通りの大人の女性だ 今夜は後悔はさせませんから 楽しみにしてください」 そう言うと運転手の目があることを承知の上でわたくしの肩を引き寄せるのです
「お約束のランジェリーもご用意していますからね」 ストレートのロングヘアに顔を埋めるようにしてわたくしの耳元にこっそりと囁くのです
19 2005 / 09
狭く・急な階段を上がって、わたくしはしばらく躊躇した後諦めてドアに手を掛けました
力を加える間もなくすっと開いたドアの先にはあの夜の運転手が立っておりました
「祥子様お待ちしておりました 車へどうぞ」 礼を失しないようにわたくしに手を添えて車まで導くのです
「どうぞこちらに」 セルシオ独特の適度な重みを感じさせるドアの開閉音が響くと車の中にはあの夜の男性が座っておりました
 
「ひさしぶりですね 祥子さん」 あの夜わたくしのアナル・バージンを奪った男性です
今夜もゼニアのチャコールグレーのスーツを着こなしてリラックスした雰囲気で後部座席におさまっていました
「どうして・・・」 どう質問をしていいのかわからないわたくしはその一言を口にするのがやっとでした
「質問に答える前に 祥子さんの明日の予定は?」 厳しささえ感じさせる太く硬い男らしい声でした
「ひさしぶりの休日ですわ」 どう答えるのが正解なのか・・・わからないままに事実を告げてしまいました
「よかった それじゃ予定通り行ってくれ」 運転手に声を掛けると車は静かに首都高速のランプに向かいました
 
「どこからお話すればいいでしょうか あの店は僕の会社の持ち物なんですよ」 ほとんど同世代だと思っていた育ちの良い男性が口にしたのは、半分は予想されていた答えでした
「あなたにもう一度逢いたくてね 万一のチャンスに掛けて店のものに頼んでおいたんです」 あの朝、ホテルのエクゼクティブフロアの廊下にいるわたくしの写真を差し出すんです
「こんなものを・・・いつ」 
「ルームサービスに頼んでおいたんですよ あなたは祥子という名前とオペラピンクのランジェリーしか手がかりを残してくれなかったから」 たしかにあの日運転手とエレベーターを待つ間廊下でルームサービスのスタッフとすれ違ったことを思い出しました
「2度と逢えなくても仕方ない そう思ってました でもどうしても諦められなくてね」 長身なのにそうは見せないバランスの良いスタイルと声同様に甘さのない顔立ちにふと男の色気が立ち上りました
 
「彼に伝言を頼んだつもりだったんだが 聞かなかったですか?」 運転手を目で指し示して男性はそういうのです
「ええ 確かにうかがいました でもこんな早いお時間にはご都合はつかないと思っておりましたから」 「だからほんの30分で立ち去ろうとしたんですね」 わたくしの言い訳は聞かない たたみかけるような物言いはそう伝えてきました
「祥子さんは伝言を聞いていて またあの店に来て下さった これからご一緒することになるのもご承知の上でね」 落ち着いた声に有無を言わせない自信を滲ませるのです
そんなつもりはございません・・・そう返事を返すことができませんでした
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