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祥子の少しはしたなくていけない妄想を綴りました 大人の方だけご覧になってください
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プロフィール
HN:
祥子
年齢:
61
性別:
女性
誕生日:
1962/12/28
職業:
フリーデザイナー
趣味:
美味しい珈琲 クラシックの流れるお気に入りの喫茶店 読書 ジャズ ミュージカル お酒 声が魅力的で背の高い男性♪
自己紹介:
寂しがりやの甘えたです。
ぽちゃ、色白、黒髪のストレートロングヘア、お胸はGカップ、眼鏡をしています。真面目そうな感じだって良く言われます。
声は美人かも♪
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26 2024 / 04
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12月の末 雪すらも舞いそうな凛と冷たい空気がミンクのコートに包まれたわたくしを取り囲むのです
もう16時には宵闇が迫り始めていました
いまは18時 コンサートホールへ向かう人波の中で・・・わたくしは思いがけない男性の姿を見かけた様に思ったのです
 
 
今夜は<第九>を聞きにきたのです
この交響楽団は毎年・・・わたくしのバースデーに決まった様に<第九>を公演しているのです
一人になってからずっと わたくしは自分へのご褒美のつもりで年末のひと時慌ただしさを忘れる様にひと時を過ごしに来ているのです

 
最近はクラシック・コンサートも随分カジュアルになってきているようです
特に第九は合唱付きということもあって 合唱に参加される方のご家族が身内の晴れ姿を楽しみににぎやかな会話を繰り広げながらいらしているのが特徴でもあるのです
その中で一人 入って左側のクロークに進むわたくしはもしかしたら少し珍しい存在だったのかもしれません
ミドル丈のミンクのコートをコンサートホールのスタッフに預け緑の札を受け取ります
黒のバッグのサイドポケットに仕舞うとゆっくりと古いホールの佇まいを楽しむ様にロビーを横切ってゆきました

 
今夜はミドルヒールの黒のパンプスに黒のガーターストッキング
ベルベット素材のプリーツスカートにビーズとスパンコールをちりばめた黒のツインニットを組み合わせたエレガントな雰囲気のコーディネイトにしてみました
本来でしたら夜の公演ですからヨーロッパの劇場でしたらドレスで訪れるのがルールなのです が、日本ではなかなかそうはまいりませんわね
前身頃を同色のビーズとスパンコールで彩られたニットは 控えめながらわたくしのGカップの胸の隆起をさりげない光沢で強調してしまうのでしょうか ツインニットの肩には軽く巻いた黒髪がふわりと乗っています
そんな姿のわたくしにすれ違う何人かの男性の視線がふっ・・と止まるのにロビーを歩いているうちに気がつきました

ケリータイプのコンパクトなハンドバッグだけを持って指定された席に向かいます
会場の中央より少し前 センターブロックの右端・コントラバスを正面に見つめられる場所にわたくしの席がありました
丁度通路を挟んで階段状に客席が一段高くなっているポイントでした
右手の通路を挟んだライトブロックの端に三脚にセットされたカメラが置いてあったのです
広報のカメラなのでしょうか? それとも・・・今日の合唱に参加する方へのサービスなのでしょうか コンサート会場では滅多に見かけないその機材の持ち主に興味をそそられたのです

 
今日は満席のようです なのにカメラのあるライトブロックの1列だけはお客様がいらっしゃいませんでした
開演5分前のベルが鳴りました
そこにようやく腕章をした二人の男性がお見えになったのです
「あっ・・・」 そのうちの1人はノースフェィスのジャケット・チノパン・180cmを超える身長・・・パリに行くと言っていた・・・美術館で出会ったあのカメラマンの男性だったのです
わたくしが気づくのと男性が気づいたのはほぼ同じころだったようです
同行している若いスタッフと話しながら近づいてきた男性は わたくしをじっと見つめると視線を外さずに席まで来て座る前に会釈を返してきたのです
あの時の記憶に残っている・・わたくしが逆らうことのできない声で・・・いくつか一緒にいるスタッフに指示をするとカメラを手にしました
男性から渡された名刺に書かれていた名前はアート系では評価の高いフォトグラファーの名前だったのです
この舞台を撮る・・彼の作品として・・・それが今日の彼の仕事なのでしょう
数ヶ月ぶりに見る男性の あの日と変わらない より以上の真剣な眼差しをファインダーに向ける横顔を見つめるうちに上演のベルが響いたのです
 
第九の公演は例年通り小品を1曲と第九の第二楽章までの一部と第九の第三楽章・第四楽章の二部構成になっておりました
圧倒的なフルオーケストラの響きは否応なくわたくしの思考を虜にしてゆきました
特に今年のエグモントは好きな曲の一つだったからです
そして・・・第九へ
プログラムは流れる様に進みました
少し悲しみや苦しささえ感じさせるような第一・第二楽章の音のシャワーを浴び会場の拍手にほぉっ・・とため息をつくと・・客席が明るくなったのです
第三楽章からクライマックスへ向けてひと時の休憩の時間です
通路を挟んだ席でアシスタントに指示をしている男性を横目にみながらわたくしは席を立ちました
 

ロビーは人で溢れていました
第九の時にはロビーにホテルからのケータリングサービスが用意されています
いつものようにグラスシャンパンンをいただいて 人で埋まるソファーではなく窓から外庭が見えるガラス張りの窓辺へ向かいました
今夜はよほど気温が下がっているのでしょう
ガラスは凍り その側にいるだけですっと冷えてゆくのが解るほどでした
その時のわたくしには・・・ほんの少し口にしたシャンパンの酔いと心地よい演奏への興奮と期待を程よくクールダウンさせてくれるように感じたのです
広がる庭に立ち木の配された庭は今宵はライトアップで幻想的な様子を示しておりました
時折吹いているであろう風が梢を揺らしてゆきます
もう一口・・・シャンパンを口にした時です
「久しぶり 元気なようだね」 あの男性の声がしたのです
「・・・お久しぶりです」 ガラスに映り込む姿を確認してからゆっくりと振り返りました
そこには本来であればこの場には相応しくない姿をした・・・でもこよなく似合うスタイルをした男性がおりました
「お仕事はよろしいの?」 この時に声を掛けられる予感がなかったわけではありません
「あぁ アシスタントに任せてある 少しくらい立たないと腰がおかしくなりそうだ」 苦笑いをするとわたくしの手からシャンパンのグラスを取り上げるのです
「ごちそうさま これ以上酔うと仕事に差し支えるからな」 グラスに残っていた半分のシャンパンを飲み干して・・・わたくしにグラスを返すのです
「あん・・だ・め・・」 左手にバッグを右手にシャンパングラスを持ったわたくしを窓ガラスに押し付けると唇を合わせるのです
「どうして連絡してこなかった」
「あなたの気まぐれだと思ったからですわ」
「パリにいても君の幻が側にいた 祥子という名前しか僕にはわからなかった 東京に戻ってからあの時間に何度か美術館にも行ったんだよ」 男性のその言葉が嘘ではないと・・瞳の強さが告げていました
「うそ・・・」 でも わたくしの口から出たのはその一言でした
「嘘なんか言わないさ 今日隣の席にいる君をみつけて僕は神を信じてもいいと思ったよ」 もう一度 唇を重ねるのです
「だめ・・・こんなところで・・」
「今夜は最後まで味合わせてくれるね」
「だって・・・あなたはお仕事が・・・あん・・・やぁ・・」 ロビーにはまだ人が溢れていました 端の柱の陰とはいえ・・・大人の男女が戯れていいわけではありません それにそろそろ上演の時間が近づいていました
「ここで君を離したら2度と会えなくなりそうだ 今夜時間をくれるね 祥子さん」 男性の声は・・・あのときと変わらない力を持ってわたくしの心を動かすのです
「・・・は・い」 躊躇いがちなわたくしの返事は上演をしらせるベルにかき消されてしまいました
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柏木様
柏木様
ありがとうございます 
年末の忙しいこの時期にお越しいただけたこと重ねて御礼申し上げます

第九は書きたいと思っていながら・・長谷川様が離してくださらなかったので
書けるかどうかぎりぎりのスケジュールになってしまったものです
いつもとは違い少し長いスパンでの集中掲載となってしまいました
お楽しみいただけておりますでしょうか

新年は帰省なさるのでしょうか
お気をつけていってらしてくださいませ
よい お年を♪
12月31日 11:18
祥子 URL 2006/08/16(Wed)18:35:51 編集
無題
季節もののストーリー、じつにタイムリーなアップでいらっしゃいますね。
私のほうでも御用納めをテーマにちょっと落書きしてみましたが、
話の組み立てが追っつかず、なかなかこうは、まいりません。^^;

オール・ベートーベンのプログラム。
渋くて硬質な輝きを覚えます。
アーチストの側にしても、
聴くものに挑戦するほどの気迫がないとなかなか組むことができないとか。
世界でもっとも華麗な曲目をバック・ミュージックに。
はたしていかなる淫らな幻を垣間見させていただけるのか・・・
とてもワクワクいたします・・・

もっとも私、時間が迫ってしまい・・・
続きを拝見できるのはもしかすると年明けか。
たとえネットの外からでも、声援を送らせていただきます。
よいお年を。
12月31日 11:10
柏木 2006/08/16(Wed)18:35:22 編集
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