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祥子の少しはしたなくていけない妄想を綴りました 大人の方だけご覧になってください
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プロフィール
HN:
祥子
年齢:
61
性別:
女性
誕生日:
1962/12/28
職業:
フリーデザイナー
趣味:
美味しい珈琲 クラシックの流れるお気に入りの喫茶店 読書 ジャズ ミュージカル お酒 声が魅力的で背の高い男性♪
自己紹介:
寂しがりやの甘えたです。
ぽちゃ、色白、黒髪のストレートロングヘア、お胸はGカップ、眼鏡をしています。真面目そうな感じだって良く言われます。
声は美人かも♪
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2日後、森本さんから来たメールにはいつもお逢いする珈琲専門店の前での待ち合わせ時間が書かれていたのです。
 
今日、わたくしはデニムの前開きのフレアーワンピースを着ていました。
ノースリーブなのでサマーブルーのカーディガンを羽織って。カーディガンよりも一段濃いアイリスブルーのランジェリー・セットに、今日はナチュラルカラーのパンティストッキングを着けておりました。脚元は、前日の雨もありましたから、白革のローファーを選んだのです。
森本さんは、いわゆる<お茶のみ友達>でした。
ですから、カジュアルに肩の力の抜けた、そしてセクシュアルではない装いをあえて選んだのです。
 



羽織ったミンクの胸元をかき寄せるわたくしの手を、トモくんは掴むと表通りに無言で向かったのです。
 
わたくしはその日は、当然のことですが仕事帰りでした。
コートの下は黒のタイト・スーツに、胸元までをきちんと覆った黒のノースリーブのカットソウ、脚元はショートブーツに黒のタイツを着けていました。
トモくんには、逢ってお食事をご一緒するだけと告げていました。
こんな風に雪のちらつく夜だということを理由にして・・・わざとよほどカジュアルな時でなければ身につけないような少し厚手の30デニールの黒のタイツを選んだのです。
インナーは、それでも黒のサテンのセットでした。
装いに合わせて・・・のセレクトでもありましたが、それ以上に月のものの時に身につけるものは黒と決めていたからです。
まるで椿姫が紅い椿を胸元に飾る様に・・・わたくしは漆黒のランジェリーを選びました。
「月のもの」は単なる言い訳でした。
まったくその気配もないのに、トモくんにわたくしの身体を見せる訳にはいかないという理由から・・・見た目だけは完璧に装っていたのです。
 
数少ない空車のタクシーに向かって、トモくんが手を上げます。
「鴬谷へ」 一台の空車が止まるとわたくしを押し込むように乗り込んで、運転手さんにそう告げたのです。
「はい」 訳知り顔の運転手さんは黙って車を発進させました。
 
「トモくん、今日はだめって言ったでしょう」 鴬谷という地名が意味することをわたくしは知らないわけではありませんでした。トモくんとは行った事はありませんでしたが、彼の目的ははっきりしていました。
「これからも逢ってくれるの?」 わたくしが、頷く事のできない問いを・・・幸せな婚約者を持つ若いセフレは改めて投げかけてくるのです。
「だめ。もう逢わないわ。」
「もう2度と祥子さんを抱けないなんて我慢できない。今夜は、絶対帰さないからね。」 タクシーという密室の中で・・・運転手の耳に・・・このあけすけな言葉はきっと届いてしまったことでしょう。
「トモくん・・やめて。今日はだめなの。」
「僕は構わない。前から言ってるだろ。もう・・・こんなになってるんだ。」 わたくしの左手を掴むと、ウールのコートの下の彼の腰へと強引に導くのです。そこはもう・・・くっきりと昂りを示していたのです。
「おねがい。帰るわ。」
「だめだ。今夜が最後なら絶対に、なにがあっても帰さないからね。」 運転手さんの意識が高ぶるだけ大きくなるトモくんの声に反応していることはわかりました。
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「ならいいけど。ここが、気に入らないのかとおもった。」 大柄な男性は、仕事相手には時にひどく強面に見せる事の出来る、整った迫力のある顔を優しい笑みに和ませながらわたくしを振り返るのです。
「そんなことないわ。好きよ、雨の翌日の紫陽花寺。」 昨晩から今朝方までしとしとと降り続いていた雨は、わたくし達が北鎌倉の駅につくころようやく上がりました。それでも、空はまだ雲がたれ込めて・・・周囲の空気をまだひんやりとさせていたのです。
「その先の書院の向こうの菖蒲はもう終わってしまったかしら」
「へえ、そんな場所があるんだ」
「知らなかったの?」 豪放磊落に見えて、実は丹念な仕事をする男性らしくない一言にわたくしはついからかいの言葉を漏らしてしまったのです。
「知らなかった。でも、ねえさんがそう言うくらいだから、印象的な場所なんだろうね。行ってみてもいい?」 そうおねだりをする顔は、まるで本当に弟以上でした。
「もう。今日はあなたのロケハンにわたくしが付き合っているだけなんだから。気にしないで、あなたの思う通りにまわってちょうだい。わたくしは充分楽しんでいるんだから。」
にっこりと微笑みかけるわたくしに、男性は無言で頷くとまた手元のカメラを進行方向へと向けたのです。
 
今日ご一緒している方は、わたくしが行きつけにしている珈琲専門店のカウンターで知り合った方でした。
いつもカジュアルなスタイルで、時に原稿用紙や絵コンテの台紙を手に普通の会社員の方なら決してお出でにならないような時間に、カウンターに座ってらしたのです。
わたくしも常連でしたから、古株の店員さんを介してその男性とお話するようになるまで、そう長い時間は必要としませんでした。
お名前は森本さん。年齢は38歳。映像監督兼プロデューサーをしていると苦笑いしながら自己紹介をしてくださいました。
年下だということと、ファーストネームがわたくしの実の弟と同じだとお知りになった時から、彼はわたくしのことを「ねえさん」と呼ぶようになったのです。
不思議なことに、森本さんとわたくしの持つ雰囲気は、どちらもとても似ていて・・・初対面の方は本当に二人を姉弟だと思われるほどだったのです。
 
1週間前。
「GWからずっと働き詰めだったから、この2日間はのんびりと過ごすことにするわ。」 珍しくわたくしのスケジュールが一日オフになることが解った日、カウンターのいつもの席で、古株の店員さんに何気なくそう口にしたのです。
わたくしの隣には、たまたま森本さんがいらっしゃいました。
「ねえさんは、鎌倉は好き?」
「ええ、好きよ」
「それじゃ、その休みの日によかったらロケハンに付き合ってくれないかな?」
「ロケハン?」
「そう。次の作品を組み立てるのに、舞台を鎌倉にしようと思って。」
「他のスタッフの方も一緒なのでしょう。お邪魔になっちゃうわ。」
「いいって、僕1人だし。ドライブがてら付き合ってくれませんか?」
唐突なお誘いでした。が、カウンターで時々お逢いする様になって1年。森本さんの性格も、考え方も良くわかっていました。
なにより、わたくしは彼と居るときにとてもリラックスしていたのです。
「お邪魔じゃないのなら、ご一緒させていただこうかしら。」
「やったね。 詳しい事は任せて。また連絡します。」
お食事はさすがなお味でした。
江戸風の濃くて甘いまったりとしたおでんは、日本酒にぴったりで、後半はトモくんも熱燗を一緒に楽しんでいたのです。
 
「祥子さん」 テーブルの上には熱燗のセットと、お漬け物だけが並んでいました。トモくんがいつにない真剣な声でわたくしに呼びかけたのです。
「なぁに?」 ほんのりと目尻が紅く染まるほどに酔ったわたくしは、とうとうお話がはじまるのね・・・と思いながら彼を見つめたのです。
「結婚する事になったんだ。」 心をいまここで、あらためて決めたかのような言葉がトモくんの口から出て来たのです。
「あら、おめでとう。良かったわね。」 26歳・・・あと数ヶ月で27歳です。付き合っている恋人がいるなら、<結婚>という話は時間の問題でしかなかったはずです。
「ありがとう。」 陽気に返したわたくしの言葉に、図に乗ってのろけを口にしないところが・・・トモくんの良いところです。良く躾けられた、いい男の子。
「お式はいつなの?」
「6月の予定だよ」 杯に満たされた日本酒をぐい・・と一息に飲み干すのです。
「そう、ジューン・ブライドね。幸せになってね。」 わたくしは徳利を手にすると、空いた彼の杯に改めてお酒を満たしたのです。
「それじゃ、もう逢う訳にはいかないわね。ありがとう、トモくんに出逢えて楽しかったわ。」 奥様のいる男性とお付き合いするつもりは、わたくしはありませんでした。彼が結婚をするというのなら、それは二人の関係が終わることを意味しました。
わたくしたちは、ただのセフレなのです。互いのことを何も知らないほどに・・・
 
「もう逢ってくれないの?祥子さん」
「ええ。新婚さんのご主人とお付き合いする必要なんかないでしょう。」
「そう言うだろうと思ってたよ、でも別れたくない。結婚してもいままでみたいに逢ってほしい。」 トモくんの視線も声も・・・本気でした。
でも、わたくしは当然のように20代の前半であろう新妻から夫を寝取る、不倫相手に成り下がるつもりはまったくありませんでした。
「ごめんなさい。せっかくだけど、もうお付き合いはできないわ。不倫しなくちゃならないほど、相手には不自由していないのよ。」
わたくしは、もう日本酒の杯には手を付けませんでした。お食事が終わったのを見計らってテーブルに届けられた暖かい日本茶を、ゆっくりとすすったのです。
「いやだ。いままでと、なにも変わらない。祥子さんに不自由な想いはさせないから、これからも逢ってほしい。」
「だめよ。」 この話はもうおしまい。そんな意味を込めて、わたくしはこの一言を口にしたのです。
トモくんは手元のお酒をぐいっと煽ったのです。そして、コートと伝票を掴むと・・・わたくしの耳元に囁いたのです。
「出ましょう。祥子さん。」
 



「どうしたの、ねえさん。黙りこくって。」 
鎌倉の紫陽花寺の境内は、植え込みに沿って奥の院の手前まで竹の手すりが渡された回遊路が出来ていました。前日の雨のせいで滑りやすくなった脚元への配慮なのでしょうか・・・。
「いいえ なにも。綺麗ね、ほんとうに。」 わたくしは脳裏の中の雪のちらつく夜のトモくんの横顔を意識の中から振り払いました。
「ひさしぶり。店長、あっちの席に移ってもいいですか?」 トモくんはカウンターの椅子を引こうとしたわたくしの手を押しとどめると、まだ空いていた少し死角になるボックス席を指差したのです。
「はい、どうぞ。そのままお身体だけ行って下さい。あとはこちらでお持ちします。」 彼はすでに何度かこのお店にきたことがあるのでしょう。店長さんは快く答えてくださいました。
「お飲物はなにになさいますか?」 トモくんのグラスとおでんの皿と真新しい箸を運んでくださった店員さんが、ミンクのコートを脱ぎスーツスタイルになったわたくしのオーダーを聞いてくださいます。
「そうですね、熱燗をいただけますか。トモくんも飲む?」
「ん〜まだいいかな。僕は、エビ黒を1本。」
「それじゃ、1合でお願いします。」 わたくしのオーダーの声に、カウンターの向こうの店長は無言のままで徳利に日本酒を注ぐと、銅の鍋のとなりのお燗場に首までとっぷりと付けてくださいます。
「祥子さんは好き嫌いはなかったよね。」
「ええ」
「じゃ、おでんは見計らいでお願いします。それと、べったら漬け。とりあえずそんなところで。」
 
ありがとうございます、店長・・・ オーダーをカウンターへと向かいながら復唱する店員さんの声を背に、わたくしは久しぶりに逢うトモくんへにっこりと微笑んだのです。
「お燗が上がるまで、ビールで」 わたくしの前に置かれたグラスに、先ほどまで彼が飲んでいた瓶ビールを注いでくれます。
「ありがとう」 グラスの8分目ほどで、軽く上げてもうこれ以上はいいわ・・・と合図をします。
「もう松も明けちゃったけど、改めて。あけましておめでとう、祥子さん」
「おめでとう、トモくん」 チン・・・ 瞬く間に埋まってゆくカウンターの穏やかなざわめきの中で、彼と久しぶりの乾杯をしたのです。
「こんな風に一緒にお食事するの、はじめてね。」
「うん、そうだね。ビールを一緒に飲むのははじめてじゃないけどね。」 いつも車で移動する彼とは、ベッドに入る前に・・・1本の缶ビールを分け合うことは幾度かありました。
ただ、いつもではなかったのは・・・ビールを手にする間もなく、ベッドへとなだれ込んでしまうことも少なくはなかったからです。
「でも、いいお店を知っていたわね。」
「ああ、ここ。いつかね、祥子さんを連れて行けるお店がないかと思って探しておいたんだ。祥子さんをいつも行く居酒屋なんかには誘えないからね。」 トモくんの視線がチラとわたくしのコートに走ります。
「ふふふ そんなこと構わないのに。でも、ここはいいお店ね、さすがだわ。」 いつも逢うなりそのままホテルへと車を走らせる彼が、こんなことを考えてくれているとは思ってもいませんでした。
「それに、こんなデートをしようとトモくんが思っているとは思わなかったわ。」
「もちろん、いつも考えていたよ。でも、祥子さんとは逢っても時間が遅いし、なかなか逢えないから顔を見ると我慢できなくなっちゃって。」 トモくんはテーブルに届けられた熱々の徳利を取り上げると、わたくしの杯に注いでくれました。
「もう、まるでわたくしがいけないみたいな言い方ね」
「そんなんじゃないってば」 あはは・・・明るく笑う顔は、屈託のない彼のものだったのです。
 
「で、こうして差し向かいで飲みたかったからあんなに強引に誘ったの?」
「それだけじゃないけど」
「話があるなら、酔う前に聞くわよ」
一瞬、トモくんの表情が堅くなった、やはりなにかあるのね。
「話はまず食事をしてから。いいでしょう、祥子さん」
「そうね、暖かいうちにいただきましょうか」 彼が自然に話し出せるタイミングになるまで・・・わたくしは待つことにいたしました。テーブルの上に並べられた湯気の立つおでんに、わたくしたちは揃って箸を伸ばしたのです。
 年末もつかまらないし、ずっと祥子さんに逢ってない。
 あと、何日待てばいいの?
 早く祥子さんを抱きたいよ。    トモ
 
確かに彼とは箱根の宿から帰って来た後、何度かメールをもらっていながら一度も逢っていませんでした。
メールからは、26歳の男性らしい直截的な欲求が押し寄せていたのです。
 
 ごめんなさい。さっきはじまったばかりだから・・・
 1週間は逢えないわ。
 わたくしも、トモくんには逢いたいのよ。
 ほんとうにごめんなさい。     祥子
 
17歳年下のセフレ。
プライベートなことはなにも知りません。若さゆえの情熱に翻弄されて淫楽に溺れる一時を共に過ごすだけの関係。
あの若さ・あの優しさ・あの気迫。わたくしとの関係だけでなく、当然若くて可愛い恋人に不自由することはないにちがいないと思っておりました。
束縛することも、されることもない・・・関係。
ですから互いに一歩引いた冷静な関係を保っていたつもりでした。
 
 逢うだけなら時間は取れるの?
 セックスしたいって言わないから。
                 トモ
 
すぐに返信されて来たメールは、意外な内容でした。
こんなこと、初めてだったのです。逢ってしまいさえすれば・・・彼がそう思っているのかもしれない、とは考えました。
同時に、逢ってお酒なり食事なりを一緒に楽しめば、それで満足してくれるかもしれない・・・とも思ったのです。
 
 そう。それなら、お食事かお酒でもご一緒する?
 明後日の19:00に。場所は任せるわ。
                祥子
 
 うん。ありがとう。
 場所は後でメールする。明後日の7時だね。
 早く逢いたい。        トモ
 
月のもののことが本当だとしたら、一番セックスすることのできないタイミングにあたる日を約束の日に選んだのです。彼の返信に少しだけ・・・不安は憶えましたが、何かあれば拒否するためのカードは揃いました。
少しだけ安心すると、あの快活な年若いセフレと数時間を過ごすことが待ち遠しくなってきたのです。
 
約束の日、トモくんが指定してきたのは老舗のおでんやさんでした。
都内でも雪がちらついた一日は、あたたかなお酒とお料理を一層恋しくさせたのです。
「ごめんなさい。待たせてしまったかしら。」 わたくしが、そのお店に到着した時には彼はもうカウンターでビールを片手に大根のおでんをつついておりました。
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