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祥子の少しはしたなくていけない妄想を綴りました 大人の方だけご覧になってください
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プロフィール
HN:
祥子
年齢:
61
性別:
女性
誕生日:
1962/12/28
職業:
フリーデザイナー
趣味:
美味しい珈琲 クラシックの流れるお気に入りの喫茶店 読書 ジャズ ミュージカル お酒 声が魅力的で背の高い男性♪
自己紹介:
寂しがりやの甘えたです。
ぽちゃ、色白、黒髪のストレートロングヘア、お胸はGカップ、眼鏡をしています。真面目そうな感じだって良く言われます。
声は美人かも♪
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「これはハモン・イベリコのようですね。独特の香りがする。」 互いに2杯目のグラスを楽しみながら、生ハムをゆっくりと味わった男性はそうおっしゃいました。
「ワインが味わい深くなりますね。」 男性の眼を見つめて、彼と同じものを口にしてみました。
映画のお話は、興味深く楽しかったのですが・・・同時に、わたくしの目の前に寄り添っていたあの方と奥様の残像をフラッシュバックさせていたからです。
瞬間的に襲っては消える心の痛みから逃れたくて、男性の映画論をワインへと意識的に逸らそうと試みました。
「ワインのセレクトはあなたが?」
「いえ、ソムリエに任せました。白で、この料理に合うものをって言ってね。フランスの白だそうですよ。」 なるほど、たしかにこのしっかりしたボディはフランスワインならではの特徴かもしれません。
「気に入ってくれましたか?」
「はい。こんなにしっかりした白は久しぶりです。」
「よかった。私もワインは好きですが、もっぱら赤なのでね、白には疎いんです。」
「でしたら・・・そう言って下さったら赤でもお付き合いしましたのに。」

男性でワインをお食事と一緒ではなくこんな風に楽しまれる方を、わたくしはあまり多く知りません。好きなお酒を聞かれた時、てっきりこの方はウイスキーかスピリッツでも召し上がるものだと思っていたのです。
「君が白ワインを選んだのには訳があるのだろう。今夜は君のために過ごすって決めているからね、構わないよ。こうでもなければ白ワインをじっくり楽しむこともないから、いい機会だよ。」 笑って2杯目のグラスを干されるのです。
シルバーのワインクーラーに手を伸ばして、男性にワインをお注ぎしようとしました。
「大丈夫だよ。ゆっくり飲んでいてください。」 わたくしを制して男性がナフキンを取り上げます。先ほどと同じに優雅な仕草でご自分と、わたくしのグラスにワインを注ぎます。
 
「今夜の訳を聞いてあげた方がいいのかな。それともこのまま関係のない話をして気を紛らわせるほうがいい?」 ソファに腰を下ろされるなり、わたくしの眼をみてそうおっしゃったのです。
わたくしは、すぐには答える事ができませんでした。
目の前の満たされたグラスを手に、ワインを頂くのには無作法なことなのですが・・・一気にグラスの中身を飲み干したのです。
このまま過ごしても、あのフラッシュバックはこれから先わたくしを苛むことでしょう。それなら、この男性が聞いてくださるなら・・・いま解決してしまうほうがきっといい・・・そう思えたのです。
「聞いていただけますか?」 テーブルに戻したグラスに4杯目のワインが注がれる時には、わたくしはもう心を決めていました。
 
以前愛して・裏切られた男性が偶然にあの映画館にいらしたこと。
隣に座ってらした女性は恐らくわたくしを捨てて娶られた奥様であること。
その方と出逢ったいきさつと、その方をどんな風に愛していたかということ。
その方にどんな風に愛されたかということも。

わたくしは、時にグラスを口元に運びながら淡々とお話を続けました。
もう枯れてしまったと思った涙が、また溢れ出し・・・ひとすじ・ふたすじ・・・頬をつたいました。
それでも涙を拭う事なく話し続けるわたくしに、男性は軽く相づちを打って先を促してくださったのです。

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