祥子の少しはしたなくていけない妄想を綴りました 大人の方だけご覧になってください
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プロフィール
HN:
祥子
年齢:
61
性別:
女性
誕生日:
1962/12/28
職業:
フリーデザイナー
趣味:
美味しい珈琲 クラシックの流れるお気に入りの喫茶店 読書 ジャズ ミュージカル お酒 声が魅力的で背の高い男性♪
自己紹介:
寂しがりやの甘えたです。
ぽちゃ、色白、黒髪のストレートロングヘア、お胸はGカップ、眼鏡をしています。真面目そうな感じだって良く言われます。
声は美人かも♪
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28 2006 / 06
「あら、思ったより早かったのね。」 わたくしは森本さんに見られない様に、一筋の涙の痕を手の甲で拭うと軽く倒していたシートのリクライニングを起こしたのです。
シートに凭れて瞳を閉じていても、わたくしは眠ってはいませんでした。
森本さんが音を押さえてかけてくれたクライズラー&カンパニーのCDから流れる白鳥の湖も、全て最初から聞いていたのです。
森本さんと二人きりの車にいながら、トモくんとの最期の夜を不自然じゃなく思い出すために・・・彼の言葉に甘えていただけでした。
彼の優しさに対する礼儀として、いま森本さんの声で目覚めたばかりのように・・・寝ぼけた声さえ上げてみせたのです。
「大丈夫。ちょっと歩くけど」
「ええ、せっかく来たのだから長谷寺の紫陽花を見たいわ。」
「ん、それじゃぁ行きますか。」
森本さんはカメラを手に車を降りるわたくしを待って、紫陽花の景色を求めて想像よりも広い長谷寺へと歩き出したのです。
「どうしたの、祥子さん」 トモくんはわたくしを抱き起こすと、先ほどまでの荒々しさが嘘のように・・・唇で涙の痕を拭ってくれたのです。
わたくしの涙を見たのは、トモくんにとっては初めての出来事でした。
嫉妬に高ぶっていた感情がゆっくりと醒めてゆくのが眼に見えるようでした。
「トモくんには誰よりも知られたくなかったわ。だから、身体のことを言い訳にして逢えないってメールしたのよ。」 彼の腕の中で、わたくしは静かに語りかけました。
「食事だけでもしたいって、トモくんが言ってくれた時うれしかったわ。なんとなく普通の恋人になれたみたいな気がして」 そう、夜の住宅街の交差点やホテル街のある繁華街ではなくて、老舗のおでんやさんで彼と待ち合わせることについ数時間前まで心躍らせていたのです。
「お正月にご挨拶に行ってきたの?彼女のご両親のところに」
「うん」
「お許しをいただいたんでしょう。よかったわね。」
「うん」 わたくしをその腕に抱き起こしたまま、トモくんは言葉少なに肯定だけを繰り返していました。
「あのね、トモくん。もうあなたに逢えないって言ったのは、あなたが結婚するからなの。」
「でも・・・」
「お願い聞いて。わたくしも、以前に結婚していたことがあるわ。愛している夫に、他に女性がいることがどんなに切なくて、辛い事か、誰よりもわかっているわ。そして、疑心暗鬼になった奥様といる男性が決して幸せになれないことも、ね。」 後手に縛られたままの不安定な姿勢を安定させようと、ほんの少し身じろぎしたのです。トモくんはなにも言わずに、背を支えた左腕に力を加えました。
「トモくんに幸せになってほしいの、わかって頂戴。」 彼の力強い腕が、わたくしを抱きしめたのです。
「きっとわからないよ。いままでだって気づかれてないんだ。」
「いままでとは、恋人だった時とは違うわ。24時間・・・一緒に暮らすのよ。すぐに気づくわ。」 そう、何年も結婚生活を重ね心の離れた夫婦でさえ女の勘はあなどれないものです。ましてや、心が夫にしか向いていない新妻には隠し通せるわけがありません。
シートに凭れて瞳を閉じていても、わたくしは眠ってはいませんでした。
森本さんが音を押さえてかけてくれたクライズラー&カンパニーのCDから流れる白鳥の湖も、全て最初から聞いていたのです。
森本さんと二人きりの車にいながら、トモくんとの最期の夜を不自然じゃなく思い出すために・・・彼の言葉に甘えていただけでした。
彼の優しさに対する礼儀として、いま森本さんの声で目覚めたばかりのように・・・寝ぼけた声さえ上げてみせたのです。
「大丈夫。ちょっと歩くけど」
「ええ、せっかく来たのだから長谷寺の紫陽花を見たいわ。」
「ん、それじゃぁ行きますか。」
森本さんはカメラを手に車を降りるわたくしを待って、紫陽花の景色を求めて想像よりも広い長谷寺へと歩き出したのです。
「どうしたの、祥子さん」 トモくんはわたくしを抱き起こすと、先ほどまでの荒々しさが嘘のように・・・唇で涙の痕を拭ってくれたのです。
わたくしの涙を見たのは、トモくんにとっては初めての出来事でした。
嫉妬に高ぶっていた感情がゆっくりと醒めてゆくのが眼に見えるようでした。
「トモくんには誰よりも知られたくなかったわ。だから、身体のことを言い訳にして逢えないってメールしたのよ。」 彼の腕の中で、わたくしは静かに語りかけました。
「食事だけでもしたいって、トモくんが言ってくれた時うれしかったわ。なんとなく普通の恋人になれたみたいな気がして」 そう、夜の住宅街の交差点やホテル街のある繁華街ではなくて、老舗のおでんやさんで彼と待ち合わせることについ数時間前まで心躍らせていたのです。
「お正月にご挨拶に行ってきたの?彼女のご両親のところに」
「うん」
「お許しをいただいたんでしょう。よかったわね。」
「うん」 わたくしをその腕に抱き起こしたまま、トモくんは言葉少なに肯定だけを繰り返していました。
「あのね、トモくん。もうあなたに逢えないって言ったのは、あなたが結婚するからなの。」
「でも・・・」
「お願い聞いて。わたくしも、以前に結婚していたことがあるわ。愛している夫に、他に女性がいることがどんなに切なくて、辛い事か、誰よりもわかっているわ。そして、疑心暗鬼になった奥様といる男性が決して幸せになれないことも、ね。」 後手に縛られたままの不安定な姿勢を安定させようと、ほんの少し身じろぎしたのです。トモくんはなにも言わずに、背を支えた左腕に力を加えました。
「トモくんに幸せになってほしいの、わかって頂戴。」 彼の力強い腕が、わたくしを抱きしめたのです。
「きっとわからないよ。いままでだって気づかれてないんだ。」
「いままでとは、恋人だった時とは違うわ。24時間・・・一緒に暮らすのよ。すぐに気づくわ。」 そう、何年も結婚生活を重ね心の離れた夫婦でさえ女の勘はあなどれないものです。ましてや、心が夫にしか向いていない新妻には隠し通せるわけがありません。
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