祥子の少しはしたなくていけない妄想を綴りました 大人の方だけご覧になってください
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プロフィール
HN:
祥子
年齢:
61
性別:
女性
誕生日:
1962/12/28
職業:
フリーデザイナー
趣味:
美味しい珈琲 クラシックの流れるお気に入りの喫茶店 読書 ジャズ ミュージカル お酒 声が魅力的で背の高い男性♪
自己紹介:
寂しがりやの甘えたです。
ぽちゃ、色白、黒髪のストレートロングヘア、お胸はGカップ、眼鏡をしています。真面目そうな感じだって良く言われます。
声は美人かも♪
ぽちゃ、色白、黒髪のストレートロングヘア、お胸はGカップ、眼鏡をしています。真面目そうな感じだって良く言われます。
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20 2007 / 01
カシャ・・・カシャ・・カシャ・・・カシャ・・
顔を上げて微笑んで、そうお声を掛ける間すらシャッター音は止まりませんでした。
「恥ずかしいわ、そんなに。」
濡れたままの指先で、俯き続けていたせいで少し下がった眼鏡をきちんと掛け直すまで高梨さんはカメラを下げませんでした。
「割烹着なんて久しぶりに見たよ。似合うね。」
「よくご存知ね。」
「ああ、ここに住んでいた祖母が良く着ていたからね。」
さきほどお食事したダイニングテーブルに重そうなカメラを置いた高梨さんの口から、割烹着なんて言葉が出るとは思いませんでした。
「いまは、ほとんどの方が使われてもエプロンでしょう。わたくしも普段に軽くお料理するときは、エプロンをしないこともあるんですよ。」
そうお話しながらも、手元はさくさくと動いておりました。
「それじゃ、どうして今日は割烹着だったんだい。」
「実は一番機能的だからなんです。」
あく抜きのためさっと酢水に放し、数分後、水気を拭き取って煮立った蜜の中へ百合根の花びらを入れてゆきます。ほんの数分で美味しくゆであがるはずです。薄いピンク色に染めるために、今日は最後に数滴食紅を垂らしました。
濃度のある蜜の中を糸の様に流れてゆく紅の筋があっという間に広がって薄紅に染まってゆくのです。
わたくしは、火を止めて調理台に置いた絞ったふきんの上にその鍋を置きました。
「ほう、そんなもの家にあったかな。」
「いいえ、もしかしたらと持って来てみたんです。」
「ははは・・やっぱりね。ちょっとしたことだが、きれいなものだ。」
プロのフォトグラファーとしての色彩感覚ゆえでしょうか。
アイランド型のキッチンの、少し高くなったカウンターに手をついて高梨さんは飽きることがないようにわたくしの手元を覗き込んでいました。
今度は二つの鍋を並べて、右に薄い酢水に漬けた蓮根を火にかけ、左にマリネ液の元をあたためます。手元には塩でほんの少し殺して赤みを増した人参が竹ざるに上がっています。蓮根が煮上がれば、熱したマリネ液の中にともに浸して冷めるまで待てば出来上がりです。今日は大人二人のためのものですから、一緒に鷹の爪も1つ入れる事にしましょう。
「台所仕事なんて、ご覧になっていても退屈でしょう?」
「いいや、なんか手伝えるかと思ったが、あまり手際がいいんでちょっと手出しできないでいる。」
「ふふふ、お上手ね。ちゃんと習ったわけではないからあまり期待しないでくださいな。」
「謙遜だね。手つきを見ればだいたいわかる。きちんとした仕事のできる人間の手つきはまるで書を書くみたいに無駄がなくて、美しいものさ。」
「もう、そんな風に言っていただいたら、召し上がっていただいた時にすごくがっかりされてしまいそうでこわいわ。」
「いい写真が撮れた時はね、シャッターを押した瞬間に解るんだ。現像して紙焼きして引き延ばすまで待たなくても、解る。祥子さんの手つきはそんな感じだよ。」
くっきりとした太い眉の下の鋭いまなざしを和らげて、高梨さんはそうおっしゃいました。
「それじゃ、気分だけでもご馳走のつもりでいてくださいな。」
手元の蓮根をざるに上げ丁寧に水を切ってから冷めないうちに器に入れたマリネ液に移します。人参を入れて、鷹の爪を入れて・・・きちんと蓋をした器はキッチンの一番涼しい片隅に新聞紙を敷いたコーナーに並べます。
顔を上げて微笑んで、そうお声を掛ける間すらシャッター音は止まりませんでした。
「恥ずかしいわ、そんなに。」
濡れたままの指先で、俯き続けていたせいで少し下がった眼鏡をきちんと掛け直すまで高梨さんはカメラを下げませんでした。
「割烹着なんて久しぶりに見たよ。似合うね。」
「よくご存知ね。」
「ああ、ここに住んでいた祖母が良く着ていたからね。」
さきほどお食事したダイニングテーブルに重そうなカメラを置いた高梨さんの口から、割烹着なんて言葉が出るとは思いませんでした。
「いまは、ほとんどの方が使われてもエプロンでしょう。わたくしも普段に軽くお料理するときは、エプロンをしないこともあるんですよ。」
そうお話しながらも、手元はさくさくと動いておりました。
「それじゃ、どうして今日は割烹着だったんだい。」
「実は一番機能的だからなんです。」
あく抜きのためさっと酢水に放し、数分後、水気を拭き取って煮立った蜜の中へ百合根の花びらを入れてゆきます。ほんの数分で美味しくゆであがるはずです。薄いピンク色に染めるために、今日は最後に数滴食紅を垂らしました。
濃度のある蜜の中を糸の様に流れてゆく紅の筋があっという間に広がって薄紅に染まってゆくのです。
わたくしは、火を止めて調理台に置いた絞ったふきんの上にその鍋を置きました。
「ほう、そんなもの家にあったかな。」
「いいえ、もしかしたらと持って来てみたんです。」
「ははは・・やっぱりね。ちょっとしたことだが、きれいなものだ。」
プロのフォトグラファーとしての色彩感覚ゆえでしょうか。
アイランド型のキッチンの、少し高くなったカウンターに手をついて高梨さんは飽きることがないようにわたくしの手元を覗き込んでいました。
今度は二つの鍋を並べて、右に薄い酢水に漬けた蓮根を火にかけ、左にマリネ液の元をあたためます。手元には塩でほんの少し殺して赤みを増した人参が竹ざるに上がっています。蓮根が煮上がれば、熱したマリネ液の中にともに浸して冷めるまで待てば出来上がりです。今日は大人二人のためのものですから、一緒に鷹の爪も1つ入れる事にしましょう。
「台所仕事なんて、ご覧になっていても退屈でしょう?」
「いいや、なんか手伝えるかと思ったが、あまり手際がいいんでちょっと手出しできないでいる。」
「ふふふ、お上手ね。ちゃんと習ったわけではないからあまり期待しないでくださいな。」
「謙遜だね。手つきを見ればだいたいわかる。きちんとした仕事のできる人間の手つきはまるで書を書くみたいに無駄がなくて、美しいものさ。」
「もう、そんな風に言っていただいたら、召し上がっていただいた時にすごくがっかりされてしまいそうでこわいわ。」
「いい写真が撮れた時はね、シャッターを押した瞬間に解るんだ。現像して紙焼きして引き延ばすまで待たなくても、解る。祥子さんの手つきはそんな感じだよ。」
くっきりとした太い眉の下の鋭いまなざしを和らげて、高梨さんはそうおっしゃいました。
「それじゃ、気分だけでもご馳走のつもりでいてくださいな。」
手元の蓮根をざるに上げ丁寧に水を切ってから冷めないうちに器に入れたマリネ液に移します。人参を入れて、鷹の爪を入れて・・・きちんと蓋をした器はキッチンの一番涼しい片隅に新聞紙を敷いたコーナーに並べます。
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